私をつくってくれたミスタードーナツJR山科駅前ショップ 今までありがとうございました!

今日は思い出話をします。

かなりの長文になってしまいました。

 

わたくし個人の勝手気ままな文章なので、興味がない方はどうぞ素通りなさってくださいませ。

 

 

 

先日、若かりし頃にお世話になっていたJR山科駅前のミスタードーナツに行ってきました。

 

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このお店は、私の原点ともなるお店の1つです。

 

 

15年前、このお店がオープンする時のオープントレーナーをおおせつかったのが27歳の時。

 

当時はまだアルバイトでした。

 

 

トレーナー業務はこのお店の前にも何度か経験はありましたが、ずっとサブトレーナーで、メイントレーナーの補佐としてチョロチョロチョロチョロ動く役ばかりでした。

 

 

でも、このお店のオープンに関してはメイントレーナーでした。

 

人生初のメイントレーナーです。

 

 


それまで何度か集団トレーニングに携わらせていただいた経験上、私には個人的な想いや疑問などがありました。

 

そこで、ミスタードーナツJR山科駅前ショップの初代店主でもあり、私をメイントレーナーとして指名してくださった方の了解を得て、「私は私独自のトレーニングがしたい!」との想いでマニュアルづくりから始めました。

 

 

それまで携帯電話すら持っていなかった私が、パソコンを使うようになったのもこのことがきっかけでした。

 

 


ドリンクの提供量

商品のレンジ加熱時間

ドーナツの袋詰めの仕方

商品の提供方法

などなど、会社から決められたことはもちろんマニュアルの中に入れていましたが、私が新人アルバイトに伝えたかったことは、

挨拶のしかた

礼儀作法

姿勢

立ち居振る舞い

身だしなみ

食べかた

言葉遣い

などでした。

 


「挨拶をしたのに返ってこなかったら、あなたの声は相手に届いていないということ。『言った=伝わった』じゃないよ」

 

「エリアとエリアの間にある『敷居』のようなステンレスの部分は、店主の頭だと思いなさい。踏んじゃダメ!」

 

「音を立てて歩くな」

 

「背筋を伸ばせ」

 

「人の話を聞くとき・ものを食べるときは、肘をつくな。足も組むな」

 

「いただきますとごちそうさまは手を合わせなさい」

 

「身だしなみとは、他人の目を持って自分を整えること。オシャレは自己中心的なもの。必要なのは身だしなみです」

 

「自分が同じことをされて嬉しいかどうか、気分を害さないかどうか、をいつも考えなさい」

 

そんなことばかりです。

 

 

 

 

私は、かつての料亭での勤務経験を生かして、自分が在籍するお店でも
『ファストフードでも一流のサービスを』
との想いで仕事をしていたので、新規オープンのお店とて同じです。

 

 

もう飲むものも食べるものもないのに長時間いらっしゃるお客様にはお水を提供したり、

財布を出したりお金の受け渡しの様子みて利き手を見分け、コーヒーやスプーンの取っ手のセッティングを変えたり、

襟が立っている・服に糸くずがついているお客様にはそれをお知らせし、

胸ポケットにタバコが見えたら言われる前に灰皿をお渡しし、

小さいお子様を連れた方には紙のコップを添えるなど、

「常にお客様を観察しなさい!」と口酸っぱく伝えていました。

 

 

 

1人の店員として働いている時も、『かゆいところに手が届くサービス』より、『かゆくならないようにするサービス』を目指していたので、トレーナーとしての私の気持ちは、商品の提供方法やコーヒーの量なんて本当はどうでもよく、それ以外のもっと大切なことを伝えていきたかったのです。

 

 

…が、「提供量なんてどうでもいいから」と断言するのは立場上マズイと思い、在職中は口にしていないと記憶していますが(^_^;)

 

でも、本心はそうでした。

 

 

 

それより、周りの人たちへの配慮ができる人の集団にしたかったのです。

 

人を思いやれる人たちの集まり。

 

品格を持つ人たちが集まる場に。

 

 


時には「そんなこと、親にも言われたことがありません」と言われたこともありましたが、「じゃあ、この機会に身につけてごらん」と促していました。

 

 

同じお店に働くもの同士でも、店員とお客という立場でも、「人は1人では生きていけないからご縁を大切にできる人たちが増えるといいなぁ…」と思っていました。

 

 

 

だから、提供量を間違ったり、何か失敗したことでアルバイトを叱ることはありませんでしたが、人としての思いやりに欠けることをしたり、品格を失う行動をした場合は、それはもう厳しく叱っていました。

 

 

15年経った今でも、あの時 厳しく言い続けたことは何も間違っていなかったと思っています。

 

 

 

多くの人に何かを伝えるために、文章にもたくさんのエネルギーを費やしました。

 

たった一文字で文章の印象がガラリと変わることも、句読点を打つ場所によって伝わり方が変わることもこの時 身をもって知りました。

 

 

「〇〇が」のほうが伝わりやすいのか?
「〇〇を」のほうが的確か?
「どこに『、』を打てば万人に誤解なく読んでもらえるか?」
「どこで文章を切れば、より説得力が増すか?」

「どういう流れで書けばメリハリのある文章になるのか?」
とか、そんなことを常に真剣に考えていました。

 

たくさんの人を相手にこちらの気持ちを確実に伝えるためには、『誤解』は何としてでも避けたかったし、伝わり方が減ることもまた多くの人に負担をかけてしまうことになるからです。

 

これは、文章だけでなく、話し方に関しても同じように思っていたので、言葉選びや言い回しなどは本当に気をつけていました。

 



こうしてこのお店のオープントレーナーを無事に終えたのですが、このことをきっかけに、沖縄や兵庫の新店オープン・長崎や宮崎のリニューアルオープン・第1号店となる大阪 箕面ショップのリニューアルオープンのトレーナーも務めさせていただき、
ミスタードーナツ直営店西日本サービストレーナー
という立派な肩書きまでいただきました。

 

多い時は50人くらいのアルバイトを相手に1人でトレーニング業務をこなしたときもあります。

 

西日本の直営店各店のリーダー・トレーナーを集めたサービスレベルアップ勉強会も、関西・中四国・九州と3拠点で開催したこともありました。

 

普通ではなかなかできない経験をたくさんさせてもらいました。



自分の言葉で人に何かを伝える難しさも、
伝わったときの喜びも、
大勢と少人数では話し方を変えたほうがいいことも、
文字がもたらすチカラも、
怒られ慣れてない人に対する叱り方も、
褒められ慣れてない人に対する褒め方も、

人の成長を真近で見られる感動も、
私はミスタードーナツのトレーナーを任されてなければ知ることもありませんでした。

 

 

 

食を中心とした講座を始めて約3年。

 

人の親となり、人前で話をし、レジュメをつくり、ブログを書き…

 

今の活動の根幹には、このお店から始まったものがたくさんありすぎて、どれだけ感謝をすれば良いかわかりません。

 

 

ありがたいことに、時々 私の文章が読みやすい・話がわかりやすいと言っていただくことがあります。

 

そう聞くたびに、「ミスドでトレーナーをさせてもらったおかげだな」と、いつもトレーナー時代のいろいろを思い出しています。

 

 

 

 

 

今、あの時の私を振り返って思うのは、ミスタードーナツのお仕事を通してたくさんの人に自分の存在に自信を持って欲しかったのだと思います。

 

 

『やればできるんだ!』という喜びを感じて欲しかった。

 

 

それは、私がたくさんの方から教えていただいたことでもあったから、その気持ちを循環させたかったのではないかと思います。

 

 

人によって褒め方・叱り方を変えていたのも、『あなたの存在を尊重していますよ』という私のアピール方法の1つだったのかもしれません。

 

 

そして、最初は自信なさげにオロオロしていた人たちがどんどん輝きだして、自信満々にお客様や仲間と楽しんでいる様子を見て、私自身が一番『やればできるんだ!』と思いたかったのだと思います。

 

 

『やればできるんだ!』と感じているアルバイトに『やればできるやん!!』と伝えることで、自分の気持ちを解消させていたのでしょう。

 

何せ、小さい頃から褒められた記憶がありませんでしたから。

 

 

 

そして、厳しく躾られたことによって得をした経験もまた、同じように循環させたかったのかもしれません。

 

 

それを証拠に、

『今、私が彼らに伝えていることは、すぐに芽が出てくるものではない。でも、いつかきっと何らかの形で出てくるはず。10年後になるか20年後になるか、はたまたもっとかかるかはわからないけれど、誰かにふと「あ!あの人ステキだな♪」と思ってもらえたり、面接官から好意を持たれて希望している会社に入れたり、結婚の話がスムーズにいったり…  本人たちの自覚がないところであっても難を逃れるきっかけになってくれたら、そのときが本当の意味での私のトレーニングの結果になるんだろうな』

と考えていました。

 

 

 

母親になって5年経った今、娘に対しても同じ想いです。

 

 

だらしがないとはどういうことか?

みっともないとはどういうことか?

 

子どものころは嫌々聞いていた親の言葉は、大人になってようやく実感します。

 

 

 

 


ミスタードーナツJR山科駅前ショップは本日17時で閉店します。

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私は勝手に自分のお役目が1つ終わったような気がしています。

 

 

ですが、今の私はこのお店がつくってくれたのは確かだし、思い出すことがたくさんあります。

 

今でもこのお店の中で働いている夢を見るほどです。

 

 

自分が関わったお店がなくなることは寂しいことだけど、それによってこうして自分の気持ちを振り返るきっかけをいただいたことは1つの区切りとも転機とも言えるかもしれません。

 

 

 

あの頃の私を支えてくださった多くの方々に、この場をお借りして御礼申し上げます。

 


あの時、私を指名してくださった多田さん。
私は多田さんのおかげで今があります。

 

大きな成長のきっかけをくださり、本当にありがとうございました!!

 

 

 

そして、ミスタードーナツJR山科駅前ショップ
15年間お疲れさまでした!!

本当にありがとうございました!!

 

 

 

 

ご清聴ありがとうございました。