全身全霊でオススメするお店『とくを』さんの魅力を余すところなく。
全国で本当に安心して食べられるお店は残念ながら数少ない。。。
どのお店も利益を出さないと存続は難しいし、従業員を養うことも、その家族の明日を保障することもできません。
でも、ごく稀に、お店の存続と、従業員やその家族を食べさせていくことと、お客を満足させることを同じくらい大切にしているお店があります。
インチキせず、本当に美味しいものを本当に美味しい状態で提供してくれるお店。
かつて、同じ職場で働いたことのある先輩のお店『とくを』さん。
時々… 本当に時々お伺いしていて、その度にたくさんの感動をもらっているのを見て、「一緒に行きたい!」という仲間が3人集まりました。
一度、私を含めた4人で夏に伺い、そのときに「一年通して行きたいね!」と話したことから、とくをさんの春夏秋冬を味わう会を結成。
その名も『とくを会』
昨日は『とくを会 秋』と称してお昼にお邪魔しました。
朝からシトシト雨が降り、薄手の長袖1枚では肌寒く、道中ではキンモクセイの香りが秋らしさを演出してくれて、夏以来、この日を本当に心待ちにしていた私たちの期待感より高めてくれました。
昨日のお料理は、万願寺の焼き浸し・鯛の中落ちでつくった煮こごり・無花果の胡麻和えの前菜からスタート。
絶品の鯛やよこわや天然車海老などが盛り付けられたお造り
蕪の吹き寄せ
まながつおと本ししゃもの焼きもの
鱧と松茸の土瓶蒸し
うざく
鱧のアスパラ巻き・茄子・パプリカのクラッカー揚げ
鱧まむし
柿の栗クリームがけ
以上がコースの内容。
これ以外に、おまけとして出してくださった、究極の魚介スープでつくったラーメンも(通常はメニューにありません)。
思わず、「うわー!これ、香りだけでお酒が飲める!」と言ってしまうほど香り豊かな1品や、よくよく噛みしめると後から後からどんどん旨みが押し寄せてきて、飲み込むのがもったいないほどの絶品料理の数々。
器も、月をモチーフにしたものや、鮮やかな紅葉の器・菊型の器など、秋を感じるものがたくさん。
お料理との色のバランスがとても美しく、食べるのを忘れるくらいしばらく見とれていたものもあります。
全国のすべての飲食店は愚か、京都市中のお店のお料理を口にしたこともないのであまり大きな声では言えませんが、『京料理』『日本料理』という看板を出しているお店でも、目を見張るような演出はあれど、食べてみると見た目ほどではなかったというお店はたくさんあります。
日本料理という、いわば我が国の伝統を受け継いで世に残していこうとしているはずお店でも、化学調味料を巧みに使い、本来の素材の味を消してしまっているお店もあります。
『老舗』と言われるお店でもです。
料理人を生み出す専門的な学校でも化学調味料の用いて指導している場合もあります。
本当に、本当に、残念なことですが。。。
自分のお店を持つときに無化調で料理をつくろうとして、味覚を正常化するのに苦労した経験を持つ料理人さんもいます。
その点、とくをさんのお料理は、過剰な演出は一切なし!
完全に『質で勝負』『味で勝負』のお店です。
ちょっといやらしい話ですが、今年は松茸が高いのだそうです。
それを手頃なお昼のコースでも出してくださる太っ腹さ!
だいたいコースで出てくる土瓶蒸しの松茸は、2〜3枚程度が相場です。
お昼ならなおさらです。
でも、とくをさんは5枚も!!
お店にとって、例年より高騰している素材を一般的な量より多め… というより倍ほどの量を入れるのは相当な覚悟が必要です。
それをサラリとやってしまう、ご主人 徳尾さんの心意気には本当に惚れ込んでしまいます。
彩り
香り
歯ごたえ
味のバランス
素材の生かし方・・・
本当に素晴らしく、過去とはいえ、「先輩」とお呼びすることが恐れ多く感じます。
徳尾さんのこだわりは、お料理だけではありません。
若い人材である従業員さんへの教育も細やかで、出勤時の服装・姿勢・言葉づかいに至るまで厳しく指導されているとか。
そんなお店、なかなかありません。
本当です。
それはそれはもう悲しくなるほど、従業員の身だしなみや礼儀作法というものに無頓着なお店はたくさんあります。
私も人材育成に携わったことのある端くれとして、街を歩いていても
「あんた、お店の看板を背負って歩いてることわからんのか!!」
と喝を入れたくなるほどずさんな場面に出くわすこともあります。
名だたるお店の店長・料理長クラスでも、金のネックレスがはっきり見えるほど服の胸元を開け、靴のかかとを踏んで靴を引きずるように歩き、髪はボサボサ、手にはタバコ。。。。。。。
「あのお店には一生行くまい!!」と思います。
直接伺ったことはありませんが、徳尾さんのお仕事に対する姿勢を拝見していると、徳尾さんの視線の先には、お弟子さんたちを通した未来の日本があるのではないかと思うのです。
「自分が関わった若い人たちが理不尽な目に遭わないように」
「無駄に苦労しないように」
「信頼・信用される人になるように」
という深い深い想いや願いがあるように思えてなりません。
いや、実際は何も伺ってないのでわかりませんけどね^^;
完全に憶測と妄想ですけどね^^;
でも、そういう想いがなければ、服装・姿勢・言葉づかいにまで神経がまわらないと思うのです。
かつて私もそういう想いで人と相対していたので、何か同じ匂いを感じてなりません。
同じ目線に経つのは非常におこがましいのですが。。。
そして、「飲食業は労働時間が長い」というのは暗黙の了解のようなもの。
でも、そのデメリットばかりが世間で取り上げられてしまって、継承して欲しい良き文化が途絶えてしまってはあまりにも悲しすぎます。
今、徳尾さんはその壁さえも越えようとされています。
私も詳しく存じ上げないのでココで詳細を書くことはできませんが、確実に変化・進化しようとされています。
ほらね!
未来の日本を想ってアレコレやってらっしゃると思わないと辻褄が合わなくなってきませんか?
先日、古くから呉服屋さんを営んでいらっしゃる若旦那さんとお話しする機会がありましたが、伝統文化を何年も何十年も何百年も何千年も受け継いでいくには、その都度その都度 少しずつ時代に沿った形に変えていかなければいけないとおっしゃっていました。
食文化とて同じことです。
「飲食ってブラックでしょ?」
たったその一言で終わらせてはいけないものがあります。
でも、そのたった一言が現代の若い世代に与える影響は絶大なものです。
それを考えての徳尾さんの決断と行動。
ただただ感服です。
どこまでも応援したいお店です。
聞くところによると、「最後の晩餐にはとくをさんのお料理を」とおっしゃるお客様も多いのだそうです。
重複しますが、こんなお店はなかなかありません。
京都という土地は、住んでいる人間でさえ年中魅了される場所です。
いつでも観光シーズンとも言えます。
「京都でちゃんとした日本料理が食べたいけど、敷居が高くて・・・」
「観光客向けの料理は食べたくない」
という方は、ぜひとも『とくを(京都 木屋町 日本料理 とくを)』さんへ足を運んでみてください。
仕事と同じくらい遊びを大切にされている方なので、もしかしたらライブでお休みされているかもしれませんが(笑)、とくをさんの営業日に合わせて京都旅行を計画してもいいくらい行く価値のあるお店だと思います。
本当に美味しいものを本当に美味しい状態で味わってみてください♪